2007年12月20日
中国の伝統武術として日本でも良く知られる太極拳は,古くからその健康効果が注目され,研究対象とされてきました.
近年,太極拳を習得することが高齢者の転倒予防対策として大変有効であることが多角的に実証され始め,歩行や姿勢制御に携わる研究者たちの注目を集めています.歩行と姿勢制御に関する専門学会(ISPGR)においても,太極拳に関する発表数が増えています.
太極拳で実践する独特の緩やかな動き,日常生活における身体姿勢とは明らかに異なる身体姿勢を習得することが,なぜ転倒予防に役に立つのでしょうか?
最近,太極拳を日本で普及する傍ら,自ら太極拳の研究もおこなっている日本体育大学大学院の胡遊氏と交流する機会があり,上記の質問をしたところ,関連する2つの論文をご紹介いただきました.いずれも興味深い実験報告でしたので,ここにご紹介し,皆様と知識を共有できればと思います.
Gatts SK, Woollacott MH (2007) How Tai Chi improves balance: biomechanics
of recovery to a walking slip in impaired seniors. Gait Posture, 25, 205-214.
Wu G, Liu W, Hitt J, Millon D (2004) Spatial, temporal and muscle action
patterns of Tai Chi gait. J Electromyogr Kinesiol, 14, 343-354
|